国の重要無形文化財指定から50年「組踊」の魅力
国立劇場おきなわ事業課 仲間修
国立劇場おきなわは2004(平成16)年1月に開場し、組踊をはじめとする沖縄伝統芸能を実際の舞台で上演し、鑑賞する機会を提供しています。組踊は、唱え(台詞)、音楽、踊りで構成される琉球独自の歌舞劇で、ミュージカルやオペラに近いものと考えていただけると分かりやすいと思います。中国皇帝の使者をもてなすため、1719年に初めて首里城で演じられてから300年余りの歴史があり、沖縄が日本に復帰した1972(昭和47)年5月に、すぐれた伝統芸能として国の重要無形文化財に指定されてから、今年で50年の節目を迎えます。また、2010(平成22)年11月にはユネスコの無形文化遺産条約に基づき、「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に記載されました。
組踊は、その特徴を知ることでより深く楽しむことができます。物語の筋は、親子が再会したり、親の仇を討ち果たしたりと、めでたしめでたしで終わるのが特徴の一つです。このことは多くの作品に「踊て戻ら(踊って戻ろう)」という台詞がたびたび出てくることからも見てとれます。また、紅型幕一枚で演目が進められて行く「一幕物」であることが挙げられます。場面の移り変わりや情景は歌や台詞によって描写されます。
組踊「二童敵討」
登場人物は士族が中心となっていますが、「間の者」のように独特の言葉使いでこれまでの経緯をおもしろおかしく説明したり、犬や猿を使って芸を見せたりする庶民的な役柄もあり、親しみやすさも組踊の魅力となっています。
「立方」と呼ばれる役者の動きは琉球舞踊が基本となっており、写実的な表現は抑えられ、〈思い入れ〉がある時にはわずかに顔をあげ、そして下ろす動作で表現します。再会の喜びを表す時は向き合い、座って顔を見合わせ、お互いの肩に手をやります。
新作組踊「真珠道」
2月には組踊史上、最初に演じられた「二童敵討」が国立劇場おきなわで上演されます。父親を殺された兄弟が踊り子に身をやつし仇討ちを果たす物語です。3月には、2020(令和元)年に逝去された沖縄初の芥川賞作家、大城立裕氏の作品、新作組踊「真珠道」の上演が予定されており、新しい作品が生まれ続けていることも組踊の魅力といえます。令和4年度には国の重要無形文化財指定から50年を記念した公演も予定しています。現在まで総合芸術として脈々と伝えられてきた魅力あふれる組踊を、ぜひ生の舞台でお楽しみください。
国立劇場おきなわ 2月組踊公演「二童敵討」
(住所)〒901-2122
沖縄県浦添市勢理客四丁目14番1号 国立劇場おきなわ 大劇場お問合せ 国立劇場おきなわチケットカウンター
Tel.098-871-3350(午前10時~午後5時30分)交通 バス:国立劇場おきなわ(結の街)バス停下車 徒歩約1分勢理客バス停下車 徒歩約10分
公演日時 令和4年2月12日(土) 14時開演
観覧料 一般:3,500円 大学生等:2,000円 高校生以下:1,000円
ホームページ https://www.nt-okinawa.or.jp/
※その他、各種割引あり。