第96回メーデー中央大会
令和7年4月26日、石破総理は、都内で開催された第96回メーデー中央大会に出席しました。
総理は、挨拶で次のように述べました。
「皆様、おはようございます。御紹介いただきました内閣総理大臣の石破茂であります。
働く人々の祭典・第96回メーデー中央大会が盛大に開催されておりますことを、心よりお慶(よろこ)びを申し上げます。
我が国における、経済政策の最重要課題は賃上げであります。『賃上げこそが成長戦略の要』との認識の下、物価上昇に負けない賃上げを必ず実現をいたします。
ともすれば、雇用は守るが賃金はなかなか上がらない。下請けの皆さん方との関係は切らないが、なかなか十分なお金は払えない。さらには、新しい商品、新しいサービスを開発するための、そのような投資をなるべく行わない。今まで日本の国は、コストカット型の経済ではなかったのかと、私は思っております。きちんと賃金が上がる。下請けの皆さん方にきちんとお金が払われる。新しい商品、新しいサービスを開発するための、そのような投資は決して惜しまない。そのような付加価値向上型の経済、私どもは皆様方と共に目指してまいります。物価上昇に負けない賃上げ、これを必ず実現をいたします。
この点、本年の春闘におきまして、これまでのところ全体も中小組合も、33年ぶりの高水準の賃上げであった昨年を上回る状況にありますことは、本日お集まりの皆様方を始め、全ての方々の御努力のたまものであります。
これを統計上の数字だけではなく、働く人々、一人一人の実感に変えていかなければなりません。私どもとして、忘れ去られた人々はないだろうか、未組織労働者、そして組合に入っておられない方々、そういう方々の、非正規の労働者の方々も含めまして、全ての方々の賃上げを実現するために、皆様と共に取り組んでまいります。
先日、16年ぶりとなります政労会見を開催をいたしました。芳野会長を始め連合の皆様方から、現場の実情について、直接貴重なお話をお聞きいたしました。引き続き御協力を頂戴し、この賃上げの勢いを中小企業、地方、そして非正規雇用の皆様方に広げてまいります。
その中で、今回のアメリカの関税措置は、国内産業に大きな影響を及ぼしかねない事態であります。政府といたしまして、賃上げの勢いに水が差されることのないよう、合衆国政府に対して、この措置の見直しを強力に訴えてまいります。トランプ大統領は、2月、私がホワイトハウスで会見をいたしましたときも、忘れ去られた人々のために、という言葉を使いました。アメリカには忘れ去られた人々がたくさんいるのではないか、金融・ITはお金持ちになったけれど、じゃあ実際に製造業で、働く人たちはどうなのか、自動車、造船、鉄鋼、そのような忘れ去られた人々のために、自分は大統領になったのだということを言っておりました。私どもにも日本国の労働者がおります。私どもは日本国の労働者を守るために、そして、どちらか一方が得をするのではない、共に力を合わせ、いかに雇用を作り、いかに生産を拡大するか、そのためにこれからも合衆国との交渉に強力に臨んでまいりたいとこのように考えております。
価格転嫁を更に徹底するために、下請法改正案の早期成立・早期施行を目指してまいります。
我が国最初のメーデーは大正9年、1920年のことでありました。第一次世界大戦が終わって、空前の好景気が終わり、多くの人々が苦しい暮らしの中にありました。そして先般までコロナが流行りましたが、当時は世界で1億人が死んだとも言われるスペイン風邪が流行っているときでございました。第1回のメーデーにおいて訴えられたのは、最低賃金法の制定でございました。私どもは最低賃金に関し、2020年代に全国平均1,500円、その高い目標に向かってたゆまぬ努力を進めてまいります。5月をめどに、そのための対策を取りまとめてまいります。
地方創生も大変に重要な課題であります。私はいつも『産官学金労言』とそういうことを申します。地方創生は政府や県庁や市役所だけでやるものではございません。民間の皆さん、そして学生の皆さん、そして金融機関の皆さん、さらには労働組合の皆さん、言論機関の皆さん、みんなで成し遂げるものであります。やりっぱなしの行政、頼りっぱなしの民間、そして全然無関心の市民、それで日本の地方創生ができるはずはございません。
そして、『人財尊重社会』を目指してまいります。人財、人々、労働者は、この国にとっての、財(たから)であります。私が昭和54年サラリーマンになった頃に、『お前の代わりなんかいくらでもいるんだ』というふうにずいぶんと上司から叱られたものであります。今は一人一人の労働者の代わりなどはどこにもおりません。一人一人をいかに尊重するか、そのことに対し、私どもは皆様と共に、最大限の努力をいたしてまいります。そして、物価上昇に対しましても、皆様方のお知恵とお力を頂きたいと思っております。あらゆる分野で働く労働者の皆様方がおられます。なぜ米は高いのか、なぜガソリンは高いのか、多くの原因がございます。政府として最大限の対応をいたしますが、それは違うのだよ、現場ではそうではない、そういうお声をまた聞かせていただきたい。そして共に日本国を更に力強く発展をさせ、一人一人の人々の幸せを実現するために、皆様と共に努力をいたしてまいります。
皆様方の御健勝、ますますの御発展、心からお祈りして御挨拶といたします。ありがとうございました。」
出典:首相官邸ホームページ(当該ページのURL)