日米韓共同記者会見 – 3人のリーダーによるスピーチ
【岸田総理冒頭発言】
まず始めに、山火事がハワイ州マウイ島にもたらした甚大な被害に関し、お見舞いを申し上げますとともに、犠牲になられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げます。我が国は、被災者救援のため、総額２００万ドル規模の支援を行うことを決定いたしました。我が国としては、被災者の救援及び被災地の一日も早い復興に向けて、積極的に支援を行ってまいります。
本日、キャンプ・デービッドを訪問し、我々３人で大変有意義な時間を過ごすことができました。御招待いただいたジョーに心から御礼申し上げます。ジョーや尹（ユン）大統領との信頼関係を、更に深める貴重な機会となりました。
今回、史上初めて、マルチ会合の機会ではなく、単独で日米韓首脳会合を開催いたしました。ここ、キャンプ・デービッドでは、数多くの歴史的な会談が行われてきましたが、その歴史にこうして新たな１ページを刻むことを大変光栄に思っています。
日米韓３か国の協力の礎となるのは、盤石な二国間関係です。そのことを我々３人は誰よりも理解し、実践してきました。本年１月に私自身が米国を訪問し、その後、尹大統領が３月に日本、４月に米国を訪問され、５月には私自身も韓国を訪問し、相互の関係を強化してきました。
今、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序が危機に瀕（ひん）しています。ロシアによるウクライナ侵略により、国際社会は、その根幹が揺るがされています。東シナ海・南シナ海における力による一方的な現状変更の試みは続き、北朝鮮による核・ミサイルの脅威はますます増大しています。
こうした状況において、今、日米韓３か国の戦略的連携の潜在性を開花させることは、我々にとっての必然であり、また時代の要請でもあります。本日、ここに我々３人は、「日米韓パートナーシップの新時代」を拓（ひら）いていく、という決意を示します。
今後、我々３か国の協力をいかに展開していくのか。３つの観点からお話しさせていただきます。
１点目として、日米同盟と米韓同盟の連携を強化し、日米韓３か国の安全保障協力を新たな高みへと引き上げます。今回の会合では、複数領域に及ぶ日米韓共同訓練を毎年実施することで一致いたしました。さらに、昨年１１月に我々の間で合意した北朝鮮ミサイル警戒情報のリアルタイム共有に関しては、初期的措置を実施し、本年末までのメカニズムの始動に向けて重要な一歩を踏み出しました。
また、北朝鮮の核・ミサイル開発の重要な資金源と目されるサイバー活動に関する日米韓ワーキンググループの立ち上げ等で一致いたしました。
２点目は、日米韓の連携の推進と、その分野の拡大です。北朝鮮への対応については、地域の抑止力、対処力の強化に加えて、制裁についてその完全な履行に向けた連携の強化を確認するとともに、２０２４年に日米韓３か国が理事国として揃（そろ）う、国連安保理でも緊密に連携していくことで一致いたしました。同時に、北朝鮮との対話の道が開かれていることについても認識を共有いたしました。そして私から、拉致問題が、時間的制約のある人道問題である旨述べ、拉致問題の即時解決に向け、ジョーと尹大統領から力強い支持を改めて頂きました。
また、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、「インド太平洋対話」や開発協力等を通じて連携し、その中で、特にＡＳＥＡＮ（東南アジア諸国連合）及び太平洋島しょ国について、海洋安全保障分野での能力構築支援について協調していくことで一致いたしました。さらに、経済安全保障分野では、重要・新興技術協力や、サプライチェーン強靭（きょうじん）化に係る協力等を進めていくことで一致いたしました。
３点目は、日米韓協力の枠組みを整備することです。それによって、３か国の連携を継続的かつ安定的に強化していく土台を創ります。日米韓３か国のあらゆるレベルで、重層的に連携を進めていくことを確認した上で、日米韓首脳会合を少なくとも年に１回開催することで一致いたしました。また、同時に、外務大臣、防衛大臣、国家安全保障局長も、それぞれ少なくとも年に１回会合を行うこととしました。さらに、財務大臣、商務産業大臣会合を行ってまいります。
国際社会が歴史的な転換点にある中、本日発出される「キャンプ・デービッド原則」を日米韓協力の新たな羅針盤とし、日米韓首脳共同声明「キャンプ・デービッド精神」に記された具体的協力を今後力強く実行に移してまいります。ジョーそして尹大統領と共に、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くため、今後とも日米韓３か国の戦略的連携の一層の強化に取り組んでまいります。
韓国大統領発言
ユン・ソクヨル大統領は18日(現地時間)、米国キャンプデビッドで開かれた韓米日首脳会談後に開かれた記者会見の総括発言で、「私たち3首脳は’新しい時代に向けた3国間協力’の意志と可能性を確認した」と明らかにした。
また、「キャンプデビッドは、韓米日3国が自由、人権、法治の共同価値に基づいて規範ベースの国際秩序を推進し、域内の安全と繁栄のために中心的な役割を果たすことを表明した歴史的な場所として記憶されるだろう」と強調した。
三首脳はこの日、共同声明である「キャンプデビッドの精神」(The Spirit of Camp David)と「キャンプデビッド原則」(Camp David Principles)を採択した。また、「韓米日間の協議に対する公約」（Commitment to Consult）を別途文書として発表した。
大統領は「三首脳は、今後の韓米日協力の持続可能な指針となる「キャンプデビッド原則(Camp David Principles)」に合意し、韓米日協力のビジョンとその履行案を盛り込んだ文書である「キャンプデビッド精神」を作成した」と明らかにした。
大統領は「まず、私たちは韓米日協力の安定的な発展のため、様々なレベルと分野で3国協力の制度的基盤を構築した」とし、「韓米日首脳会談の定例化と一緒に、3国の外交長官、国防長官、国家安全保障補佐官を含む各級の人物が各分野で毎年会い、3国間の協力案を緊密に調整していくことにした」と説明した。
また、「特に、3国首脳は、3国の共同の利益を脅かす地域内の緊急の懸案が発生した場合、迅速に協議し、対応するためのコミュニケーションチャンネルを設立することにした」と述べた。
また、域内3国間の戦略的協力を強化するための次官級「韓米日インド太平洋対話」を創設し、インド太平洋地域内の新たな協力分野を発掘していくことにしたという。
大統領はまた、「3国国家安全保障会議(NSC)間の経済安全保障対話とともに、開発政策共助のための協議体も創設することにし、グローバル保健、女性のような多様な分野で協力体制を構築することにした」と述べた。
このほか、韓米日未来世代間の絆を強化するための韓米日青少年サミットも開催することにした。
3国首脳は、北朝鮮の核とミサイルの脅威に対する共同の対応能力を高めるための実質的な協力案を協議した。
大統領は昨年11月のプノンペン首脳会議で合意された北朝鮮のミサイル警報情報のリアルタイム共有が今年中に本格稼働することに言及し、「これは3国の北朝鮮のミサイル探知と追跡能力を強化する重要な進展になる」と強調した。
また、「北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対応するための3国間防衛訓練の重要性に共感し、年間計画に基づいて韓米日訓練を実施することに合意した」と明らかにした。
また、「北朝鮮の核・ミサイル開発の財源を確保するための労働力と人権搾取を監視・遮断する努力を倍加し、北朝鮮の違法資金調達を阻止するため、3カ国間の北朝鮮サイバー活動対応実務グループも新設することにした」と付け加えた。
また、3首脳はインド・太平洋戦略の推進過程で3国協力をさらに強化していくことにした。
大統領は「韓米日3国は、インド太平洋戦略の推進過程で、一方的な力による現状変更に反対し、主権尊重、領土保全、紛争の平和的解決などの規範に基づいた国際秩序を守るための協力をさらに強化していくことにした」と明らかにした。
さらに、「このような努力の一環として、韓日米日3カ国がASEANと態度国の海洋安全保障能力強化を支援していくことにした」とし、「さらにウクライナ国民の自由を回復し、再建を支援するための3カ国間の協力も強化していく」と述べた。
三首脳は3国の共同の繁栄と未来成長のためのグローバルサプライチェーンの安定、エネルギー安全保障などに対する協力案についても議論した。
大統領は「まず、韓日米日3国の国民経済と直結した経済安全保障分野で戦略的パートナーシップを拡大していく」とし、「グローバルサプライチェーンの安定、エネルギー安全保障のための3国間協力を強化し、海外サプライチェーンリスクに対する早期警報システムを一緒に構築していくことにした」と述べた。
また、「私たちは先端技術分野の協力を拡大して未来成長動力を確保していく」とし、「特に人工知能（AI）、量子、バイオ、次世代情報通信、宇宙分野で韓日協力は大きなシナジー効果を発揮できる」と強調した。
日米韓が推進することにした国家研究機関間の共同研究開発と人的交流の拡大については、「3カ国が科学技術革新を主導していく礎となるだろう」と強調した。
また、「アジア・太平洋地域の共同繁栄のため、ASEANとアジア諸国の需要に合わせた効果的な支援策も一緒に模索し、実施していく」と明らかにした。
バイデン大統領、岸田首相との会談を読む
ジョセフ・R・バイデン大統領は本日、キャンプ・デービッドで岸田文雄首相と会談し、世界および地域の安全保障問題について協議するとともに、二国間の安全保障および経済協力を推進した。
両首脳は、ウクライナがロシアの残忍かつ不法な侵略から自国を守るために必要な期間、ウクライナを支援し続ける決意を確認した。両首脳は、米国のあらゆる能力に裏打ちされた日本の防衛に対する米国のコミットメントを認識し、地域の安全保障上の課題に対処するために緊密に協力することを約束した。両首脳は、南シナ海における中華人民共和国（PRC）の最近の危険な行動に対する懸念を表明した。両首脳はまた、台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性を再確認した。
両首脳はまた、ハイエンドの極超音速の脅威に対抗するため、滑空位相迎撃ミサイルの共同開発プログラムを推進する計画など、防衛協力における重要な進展を強調した。
バイデン大統領と尹錫烈（ユン・ソクヨル）大統領との会談について
ジョセフ・R・バイデン大統領は本日、キャンプ・デービッドで尹錫烈（ユン・ソクヨル）韓国大統領と会談し、世界および地域の安全保障問題について協議するとともに、二国間の安全保障および経済協力を推進した。
両首脳は、ワシントン宣言に沿った拡大抑止活動を含め、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の非合法な核・弾道ミサイル開発計画に対処するため、緊密に協力することを約束した。両首脳は、ウクライナを引き続き支援するとともに、南シナ海や台湾海峡を含むインド太平洋全域の平和と安定を促進する決意を確認した。
両首脳はまた、経済協力、特に重要技術や新興技術に関する進展に焦点を当て、複数の商業分野を強化・強化するための米韓間の緊密な協力関係の継続を確認した。
出典：
1. 首相官邸ホームページ（URL）
2. 大韓民国政策ブリーフィング 대한민국 정책브리핑 (www.korea.kr)
3. ホワイトハウス
